第3章 家でパンを作る9つの鍵(②混合)
一口にパンの生地づくりといっても、2つの作業に分けられます。
それは、混合と捏ね・打ちつけです。
まず、混合について説明しましょう。
ここでは、生地を作るという意味合いよりも材料を均一に混ざり合わせる。という事が重要になります。
さて、映像での解説の前に一つしたいお話があります。
それは手捏ねと機械での生地作りの事です。
パン屋に勤めていて、よくある職業病として腱鞘炎が見られます。
私も実際、腱鞘炎になってしまいました。
そこで友達によくされた質問があります。
「パン捏ね過ぎたの~?」
う~ん、わからなくないんだよね~、そう言いたくなる気持ち。というのがその時の私の心境です。
実際、私もこの世界へ踏み入る前は、「パン屋さんは手で捏ねてる」というイメージしかありませんでした。
パン屋の仕事の説明をされた時、
「これが生地を作る機械です。」
て言われた時は、
「なんだよ!それ!だめじゃん!!手作りじゃないじゃん!!」
なんて思った日が、今では懐かしい思い出です。
パン屋さんに関しては1日に作るパンの量がとても多いので、生地を手で捏ねて作れる状態にありません。
専用の生地を作る機械を使わなければとても作れる量じゃありません。
(一部のパン屋さんでは、作るパンを厳選して手捏ねにこだわり生産しているお店もあります。)
手捏ねの良さは自分で一からパンを作りあげるこだわりを持てる事と微調整を肌で感じながらこまめに行える事です。
しかし、パンの生地作りは重労働であり、手捏ねの最大の難点はそこにあります。作る量が増えると負担がかなり大きくなっていきます。
機械を使用する事は、なんといっても、一番重労働な生地作りをしなくてすむ利点は大きいです。
家で生地作りに使える機器としてはホームベーカリーや生地作り用の機器があります。
よく研究されて作られているので、使いこなせば良い生地、少ない労力でできますが、手捏ねでの繊細さとこだわり感には少し欠けてしまうものがあります。
また、専門的になればなるほど値が張り、購入するのにお金が結構かかってしまうのも難点といえます。
家でのパン作りにおいて、どちらを選ぶかで重要なのは、あなたのパンに対する価値観が大切になります。
自分が楽しく、満足できる方法を選ぶ事が大事です。
それぞれの良さ、悪さがあるので、それに合わせて使い分けるのもよい方法ではないでしょうか。
例えば、あまり捏ねる必要のない生地は手捏ね、良く捏ねる必要のある生地は機械を使うというように使い分けるのも一つの良い手ではないでしょうか。
興味のある方は、生地の捏ね具合の判断の知識については4.生地の見極めで説明していますので参考にしてみてください。
ここでは手捏ねによる生地作りを紹介しています。