失敗から学ぶ「家でのパン作り」

元パン職人が家でのパン作りのコツを解説します。

2023-01-01から1年間の記事一覧

おわりに

長い文章をここまでお読み頂きありがとうございました。 失敗は怖いです。 失敗は辛いです。 失敗は避けたいです。 私もパン屋で働いている時、いっぱい失敗しました。 失敗すると業務的な数の被害なので、血の気が引く感覚を何度も味わいました。 失敗はで…

第4章  パンを家で作る意味(④コミュニティへの参加)

人と人が出会い、会話を交わして、友人としての関係を築く。 このプロセスにおいて、どれだけの奇跡が起きているのでしょうか。 数ある中からパン作りを互いに選んで出会います。 これにはなんらかの縁があるとしか思えません。 その出会いを大切に、そして…

第4章 パンを家で作る意味(③趣味としての楽しみ)

パンを作る事が好き!楽しい! と思えていたら、パン作りが趣味です。と言えますね。 趣味として良い事は こだわろうと思えば、どこまでもこだわって良し。 作り方が間違っていようが、自分がおいしければ良し。 つまり判断基準は自分次第です。 売るわけで…

第4章 パンを家で作る意味(②コミュニケーションツール)

パンは誰かと一緒に作る事でコミュニケーショーンをとる手段として優秀な働きを見せます。 もし、1人で作った事しかなければ、ぜひ家族や友人の方々と一緒にパン作りをしてみてください。 きっと楽しい時間を過ごせる事でしょう。 パンは作る工程で色々な作…

第4章 パンを家で作る意味(①焼き立てパンの魅力)

皆さんは、シンデレラというお話はご存じですよね。 魔法をかけてもらい、12時までの時間限定でお姫様の姿になりますよね? 実は、焼き立てのパンってシンデレラと似てるなぁ、なんて思っているんです。 パンは焼き立てじゃなくてももちろんおいしいです。 …

第4章 パンを家で作る意味

さて、家庭でのパン作りの鍵として、9つの項目を説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。 パン作りを楽しむヒントとして参考にして頂けたら幸いです。 次の項目は、 「なぜ家でパン作りをするのだろう?」 という点を探ってみたいと思います。 現在パ…

第3章 家でパンを作る9つの鍵(⑨焼く(2))

<早く焼き色がついてしまった場合> あまりに早いと中までちゃんと火が通らず、生焼けになってしまう事があります。 その場での対応としては、クッキングシート等を表面にかぶせて、それ以上焼き色がつくのをやわらげながら、規定の時間に近づけるようにし…

第3章 家でパンを作る9つの鍵(⑨焼く(1))

完成まであと一歩。 パンを焼く作業に入ったらゴール目前ですね。 しかし、この完成直前の作業にも大きな落とし穴があります。 それは「焦がす」という危険因子です。 レシピに焼く温度と焼く時間がしっかり書いてあるでしょ?その通りに焼けば平気でしょ? …

第3章 家でパンを作る9つの鍵(⑧焼く前の加工)

成形で色々な形になりましたが、焼く前にもう一工夫する事で、色々なパンの表情を作る事ができます。 代表的なのが、といた卵をパンの表面に塗ります。 効果としては、焼き色が鮮やかにつきます。多くのパンで行われますが、注意点としては、力を入れすぎて…

第3章 家でパンを作る9つの鍵(⑦最終発酵(3))

<最終発酵の大きさの見極め> どのくらいの大きさまで発酵させればいいのか? この最終発酵の場合は、以前の発酵の様に指をさして確認する事ができません。 この段階では、形を直す事ができないので、指の穴が残ったパンになってしまいますからね。 なので…

第3章 家でパンを作る9つの鍵(⑦最終発酵(2))

<温度と湿度> パンは基本的に温度38℃、湿度85%の高温多湿の環境で最終発酵を行います。 この環境を家庭で維持するのは難しいので、「パンは温かくて湿度が高い場所が好きなんだ」という事を知っておき、出来るだけ温度と湿度を保つ場所を確保するようにし…

第3章 家でパンを作る9つの鍵(⑦最終発酵(1))

基本的なパン作りの流れとして、パンの形を作り、もう一度発酵させてから焼きます。 この焼く前の発酵を最終発酵といいます。 この最終発酵を行う事で、パンは成形した形を保ったまま、ふっくら焼きあがります。 ここで注意が必要な点があります。 それは生…

第3章  家でパンを作る9つの鍵(⑥分割、成型(2))

分割した後成型に進む前に大事な工程があるのでご紹介します。 <ベンチタイム> 切り分けた生地は、次の工程の成形に備え、形を整えて、少し休ませます。 この休ませる時間をベンチタイムと呼びます。 切り分ける為に力を加えた生地は、収縮して伸びにくく…

第3章 家でパンを作る9つの鍵(⑥分割と成型(1))

発酵した生地をそのまま焼く事はなかなかありません。 発酵した生地を、好みや食べやすさ、作業しやすさ、パンの種類等で必要な大きさに切り分けます。 これを分割といいます。 分割の注意点としては ・生地を必要以上に傷つけない ・切り分けた生地の重量を…

第3章 家でパンを作る9つの鍵(⑤発酵(2))

<発酵具合の見極め> 発酵の状態を判断する材料としては、指穴テストがあります。 指を生地に差し込んで、生地がどのくらい反発してくるかを見て判断します。 その様子を映像で解説しますので、ご覧ください。 そして、参考にする項目として、時間と見た目…

第3章  家でパンを作る9つの鍵(⑤発酵(1))

発酵という過程があるのが、パンの大きな特徴となっています。 発酵によって、特有の豊かな香りが作られ、膨らみ、やわらかな食感のパンが生み出されます。 しかし、パンをどこまで発酵させればよいか、どのように判断するかが問題になってきます。 パンは同…

第3章 家でパンを作る9つの鍵(④生地の見極め(2))

<グルテンをあまり作らないパン> ・シンプルな配合のパン ・小麦の香りを大切にするパン ・油脂の折り込みを行う工程のあるパン 最もシンプルな配合としては、小麦、水、イースト、塩で作れるフランスパンがあります。 使用する材料の種類が増えていくと、…

第3章 家でパンを作る9つの鍵(④生地の見極め(1))

パン作りを学び始めた時、わからなくて困りはてていたのが、 「どうなったら出来上がりの生地なの?」 という事です。 パン屋さんでは、生地作りの際、専用の機械でパンの種類に応じて、○分捏ねるというのが決まっています。 パンはその時の環境の微妙な変化…

第3章 家でパンを作る9つの鍵(③捏ね・打ちつけ)

生地作りのもう一つの作業がこの捏ねる・打ちつけるです。 均一に混ぜ合わさってできた生地に力を加える事で、グルテンを強化してパンの生地を作り上げます。 ここは均一に混ぜた生地を鍛えあげる作業と表現できます。 捏ねは、生地に力を加え、練る様な動き…

第3章 家でパンを作る9つの鍵(①計量)

計量の大切さは第1章の大きなミスで述べました。 ここでは計量の仕方について説明しましょう。 計量には「はかり」という道具が必要です。 はかりの中でも、デジタルの数字で重さを示してくれる「デジタルはかり」が使いやすく、お勧めです。 ホームセンター…

第3章 家でパンを作る9つの鍵

この章では、家でのパン作りの中でキーポイントと思える ①計量 ②混合 ③捏ね・打ちつけ ④生地の見極め ⑤発酵 ⑥分割と成形 ⑦最終発酵 ⑧焼く前の加工 ⑨焼く の項目を家でのパン作りの鍵として9つ紹介しています。 また、この項目は動画による説明を取り入れて…

第2章  パンを喜ばせるために必要な材料の知識(材料の知識を持つという事)

パンは現在、色々な種類があります。 材料の知識を持つ事で、自分なりにパンや失敗に対して分析して考える力がつきます。 同じ「何でだろう?」に何もできない状態から、自分で解決する為に動く行動力が生まれます。 パンは正直です。 中に住んでいるイース…

第2章 パンを喜ばせるために必要な材料の知識(8.卵)

卵の大きな役割としては、 ・水と油を仲介する乳化作用。 ・焼き色をよくする。 ・風味や栄養価を高める。 が挙げられます。 卵黄には水と油を仲介できる天然の乳化剤として働く大きな作用があります。 その働きにより、パンが柔らかく保たれる効果がありま…

第2章 パンを喜ばせるために必要な材料の知識(7.油脂)

油脂の大きな役割として、 ・コクや香りを与える。 ・生地の形を変えやすくする。 ・ボリュームが大きくなる。 ・パンを柔らかく保つ。 があります。 油脂には、バターやマーガリン、ショートニング等があります。 バターや、マーガリンは香りや味が強く、生…

第2章 パンを喜ばせるために必要な材料の知識(6.牛乳)

牛乳の大きな役割としては ・牛乳の香り。 ・パンの焼き色を良くする。 ・栄養価を高める。 が挙げられます。 牛乳をパンに配合して、1番楽しみなのは牛乳のやさしい香りではないでしょうか。 この牛乳を生地に配合した際、はっきりと香りや味を感じられるに…

第2章 パンを喜ばせるために必要な材料の知識(5.砂糖)

砂糖の大事な役割としては、 ・甘味を与える。 ・焼き色を良くする。 ・柔らかさを保つ。 ・イーストの栄養源になる。 があります。 甘みを与えるというのは、砂糖の一番わかりやすい働きです。 焼き色に関しては、焼き色が早く付くようになります。 砂糖が…

第2章 パンを喜ばせるために必要な材料の知識(4.塩)

塩の大きな役割としては、 味とパン生地を引き締める事です。 料理にとっても塩は大きな役割をするように、パンにとっても味の面で大切な材料になります。 スイカに塩をかけると甘みをより感じられるように、甘さを引き立たせる効果もあります。 甘いパンで…

第2章 パンを喜ばせるために必要な材料の知識(3.イースト)

イーストは発酵と呼ばれる過程でパンを膨らまし、豊かな香りを生み出す微生物です。 パンが生き物であるというのは、イーストという生き物が中にいるという所にあります。 生き物なので、好き嫌いがあります。 このイーストが嫌いな事をしてしまうと、機嫌を…

第2章 パンを喜ばせるために必要な材料の知識(2.水)

水の大きな役割は前述の通り、小麦と混ざり合いパンの骨格を作る事です。 そして、水には、他にパン生地の柔らかさを決める、パン生地の温度を決めるという点で重要な働きをします。 小麦粉は同じ銘柄を使っていても、状態が微妙に違ってきます。 その微妙な…

第2章 パンを喜ばせるために必要な材料の知識(1.小麦粉)

小麦粉はパンの材料の中でも大部分を占めています。 役割としては水と合わさって、パンの骨格を作る事が大きな役目であると言えます。 その骨格をグルテンと呼びます。 そのグルテンの強度として関係してくるのが、小麦に含まれる、小麦たんぱくです。 小麦…